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断崖の図書館

サガン鳥栖,読んだ本,秋田禎信,ラジオを中心に

2025.01.24.Fri.14:23
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2004.02.13.Fri.03:38

今日は13日の金曜日だけど,確率は1/7だから結構高いな.

以下の文章はラジオで流れた話である.
男はしがない会社員で,毎日を普通に暮らしていた.
家族は妻,娘一人,息子一人.
その子供達も成人して家から巣立ってしまった.
彼自身にとっても今日は巣立ちの日だった.
数十年勤め上げた会社を定年退職するのだ.

彼にはこれといった趣味はなかった.
が,仕事終わりに小さなソバ屋に通うことは楽しみの一つだった.
入社したての頃から通っている思いで深い店である.
だが,店の主人と話したことは一度もなかった.
彼だけが特別なのではなく,店の主人がそういう男なのだった.
退職するこの日,全ての仕事の引継ぎを終え,彼の会社勤めは終わった.
そして帰りに,いつものようにソバ屋に通う.
明日からはココに来ることもないのだと思うと感慨に耽ってしまう.
そしてお決まりの350円の掛蕎麦を注文する.
普段は決して会話することもない主人.
しかし,今日は最後の日.
思い切って話しかけてみる.
「私は,今日で退職するんですよ.ココのソバも食い収めなんです」
すると,主人が言ってきた.
「そうかい.じゃあ海老天と卵をつけるよ」
海老天は150円,卵は80円.
たったそれだけのことなのに目頭が熱くなる.
数十年の思い出が溢れてきた.
楽しかったことも嫌なこともも全て.
そしてその思い出は,このソバ屋で締めくくられる.
彼は出て来たソバを味わいながら食べた.
今日のソバは少し,しょっぱかった.
「お勘定」
彼は気恥ずかしさのため,下を向いたまま言った.
主人はいつもの調子でこう言った.
「しめて580円だね」

そういった話(一部脚色あり).
僕はもちろん,司会の爆笑問題の二人も笑っていた.
そんなオチかよ,と.
でも考えると,本当にイイ話だと思えてきた.
変な同情をかけることもせず,いつものように振る舞う.
これ,カッコイイ話でもあるよな.

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